中村太一+東恩納裕一『Lost in Paintings』
2024年5月10日 〜 2024年7月1日
Heimlichkeit Nikai(ハイムリッヒカイトニカイ)
場所:東京都大田区大森北6-13-3 2F
平和島駅前の空き家だった民家(二階)を会場とするHeimlichkeit Nikai(ハイムリッヒカイトニカ イ)では、2024年5月10日(金)より、ペインターの中村太一をゲストに、東恩納裕一との二人展 『Lost in Paintings』を開催いたします。
「Blue Bird」(2016年)とタイトルされた中村太一さんの水彩を見て以来、彼の水彩による風景が ずっと気になっていた。水彩といえば、かねてからターナーを筆頭とする19世紀英国の画家たちの描 く崇高な風景に魅了されてきたのだけれど、それとは対照的に、中村さんの描く風景には崇高さに伴う 恐れや遠さの感覚はなく、むしろとても近い・・というより、そこは没入する場所として描かれる。だ からこそ、彼は湧き出るように倦むことを知らず、夥しい量の作品を描けるのではないか・・・とも妄 想してみる。 平和島のNikaiは、ホワイトキューブではなくかつての住人の残り香があって、そこに置かれる作品は白 い壁と対峙するのではなくアンチームな室内に溶け込みそこに一体化する。Nikaiを訪れるわたしたち は、その渾然とした空間に没入し、夢中になり、そして迷子になる・・・ (ヒガシオンナ ユウイチ)
Lost in Paintings 僕の絵には常に場所がある。それは、何処そこのある地域の山の中だとか地図に載っているとかそうい う場所ではない。その場所というのは現実の体感した場所であったり夢の中の場所であったり、厳密に 言ったら特定できない場所なのかもしれない。僕の脳裏の中なのか心なのか、それもまたある見知らぬ 場所に一度保管されたもの。つまり僕や、絵に登場している人や動物は、ある場所にいながら常にそこに はいないのかもしれない。東恩納さんがこのタイトルをくれた時、僕自身も迷い道の中で新しい場所に 移行し続けるように絵を描いているんだろうなと思った。だからきっと常に描くし常に現実と非現実を 行き来しながら描き続けるんだと思う。僕らはいったいどこに迷い込んだんだろう?って。そんなふうに 思う。そういったプロセスの中で、まるで山の中で藪漕ぎをするように描き続けたらいつか僕がどこに いたのかを理解する事ができるかもしれない。(ナカムラ タイチ)
本展では、中村太一の水彩作品を中心に、東恩納裕一によるドローイング、新作LED作品を含むインスタ レーションをお楽しみいただけます。